みなさんこんにちは、世界最大のげっ歯類のカピバラです。
今回は、阿津川辰巳先生の『館四重奏シリーズ』を解説していきます。
『館四重奏シリーズ』は、文字通り館で起きる殺人事件を描いており、さらには完結まで4巻を予定していることからこの名前がついています。
特徴として、殺人事件が起きる館は、殺人事件とは関係なく危険に晒されています。
(館が山火事により焼失の危機に晒されるなど)
ミステリ界からの評価は高く、このシリーズの作品は『このミステリーがすごい!』や『本格ミステリ・ベスト10』などでもランクインしております。
それでは、『館四重奏シリーズ』について、以下のことを本記事では解説していきます。
この記事で解説する内容は下記となります。
- 『館四重奏シリーズ』の作者は?
- 『館四重奏シリーズ』の主な登場人物は?
- 『館四重奏シリーズ』の既刊と読む順番は?
それでは参りましょう!
『館四重奏シリーズ』の作者は?
作者は阿津川辰海先生です。
東京大学出身で、当時は文芸サークルに所属されていたそうです。
その後、2017年に『名探偵は嘘をつかない』でデビューされました。
ミステリを専門に描かれており、その作品は多くのミステリランキングに名を連ねています。
また、X(旧Twitter)もされているようです。
『館四重奏シリーズ』の主な登場人物は?
続いて、登場人物を紹介していきましょう。『館四重奏シリーズ』の主な登場人物は2人です。
葛城輝義(かつらぎてるよし)
葛城輝義はいわゆる探偵役です。
高校2年生で他人の嘘を見抜くことができるという能力を持っています。
ただし、嘘をついていることはなんとなくわかっても、それがどのような嘘であるかは分かりません。
上流階級の出身ですが、家族関係はなかなか複雑です。
『名探偵』としての矜持と自負があり、正義感が強いですが、若干融通がききづらいところも。
田所信哉(たどころしんや)
田所信哉はいわゆるワトスン役です。
葛城輝義の同級生であり、友人でもあります。
2人ともミステリが大好きで、お互いに相手の性格を知り尽くしています。
かつては『名探偵』を目指していましたが、葛城の能力に自分では無理だと諦めた過去があります。
『館四重奏シリーズ』の既刊と読む順番は?
既刊は『紅蓮館の殺人』、『蒼海館の殺人』の2冊で、2024年2月15日に最新刊の『黄土館の殺人』が発売予定です。
読む順番ですが刊行順である『紅蓮館の殺人』→『蒼海館の殺人』→『黄土館の殺人』の順番で読まれることを強くお勧めします。
ストーリーが続き物になっているので、よほどのことがない場合は刊行順に読むべきでしょう。
続いて、各巻についてざっくりと解説していきます。
1巻 紅蓮館の殺人
第1巻は紅蓮館の殺人です。
もう、タイトルと表紙からしてミステリ好きなら手に取ってしまうオーラがありますよね!
私は電子書籍で買いましたが、あらすじを見て1目でポチッでした。
あらすじ
田所と葛城の二人は、山で行われる学校の勉強合宿を抜け出し、山の奥へと進んで行きました。
その目的は、彼らが大ファンであるミステリ作家の財田雄山の別荘を尋ねるためです。
しかし、突如として落雷による山火事が発生し、2人は下山することができなくなってしまいます。
2人と途中で合流した謎の人物の小出とともに、雄山の屋敷である『落日館』に辿り着きました。
しかし、そこで止めてもらったのも束の間。翌朝に館の釣り天井で館の住人の1人が死んでしまったのです。
はたしてこれは事故か自殺か、真相を突き止めようとする葛城をよそ目に、山火事はどんどん館に向かって迫ってきており…
筆者の感想
うーん色々と惜しい作品でした。
決してつまらないわけではないのですよ。葛城の探偵としての見せ場はありますし、その真相にしても悪くはありません。
ただ、推理が若干飛躍しているのではないかなと思う点がいくつかあります。
また、せっかくの館が燃えてしまいそうという緊迫感を出せそうな状況なのに、全体的にみんな自由というか呑気な雰囲気なのですよね。
葛城も探偵とは真実を追うべきなど色々言っていますが、はっきり言ってこの山火事で下手したら全員が死にかねないような状況で言うべきことではない気がします。
こういうことを言い出す人は多くの人からしたら迷惑なだけではないでしょうか。
ただし、ここで出てきたモヤモヤは、次の『蒼海館の殺人』で一気に吹き飛ばされます。
2巻 蒼海館の殺人
第2巻は蒼海館の殺人です。
『紅蓮館の殺人』は正直まあまあといったところだったのですが、続きが気になる終わり方だったので手に取って読みました。
あらすじ
『紅蓮館の殺人』のあと、不登校となってしまった葛城に会うため、田所は友人の三谷とともに、葛城の実家である蒼海館に訪れました。
しかし、2人は葛城に拒絶されてしまいます。夕食を葛城家のメンバーに加わって田所と三谷は食べますが、一見和やかに見える一家は、どうやら各々が腹に一物ありそうな雰囲気でした。
しかし、大雨により、2人は帰れなくなってしまったため、葛城家に宿泊することになります。
そして、そこで発生する連続殺人事件。さらには雨はますます強くなり、館を飲み込まんとする勢いで水が増えていきます。
この2つの危機に対し、葛城と田所は立ち向かうことができるのでしょうか。
筆者の感想
面白かったです。前作までのモヤモヤが一気に吹き飛ばされました。
この作品で葛城への印象はだいぶ良くなり、前回の葛城の万人受けするとは言い難いキャラ設定は、この作品のための布石なのではないかと思われたほどです。
また、エンタメ性も大きく向上しており、前作よりもはるかにページ数が多いにも関わらず、前作とは異なり一気に読んでしまいました。ここで詳細を話せないのが惜しいです。
ちょっとやはりミステリとしてはむりがあるかも?という展開はありましたが、それを補って読む価値は余りあります。
もし、『紅蓮館の殺人』だけしか読んでいない方は、ぜひこちらもお読みください!
3巻 黄土館の殺人
第3巻は黄土館の殺人です。
本来、黄土館の殺人は2023年発売予定だったそうですが、2024年の2/15に延期したみたいですね。
この記事を書いている時点では、岩に囲まれた館で殺人が起きること以外不明です。
発売日が待ち遠しいですね。読み終わったら追記します。
以下、読み終わったので追記いたしました。
あらすじ
『蒼海館の殺人』から3年、大学生になった「名探偵」葛城と「助手」田所とその友人である三谷は『紅蓮館の殺人』で知り合いになった「かつての名探偵」飛鳥井光流から、荒土館に招かれました。
しかし、荒土館に辿り着く直前に、地震による土砂崩れが発生し、葛城を除くメンバーは脱出不可能な状況で荒土館に取り残されてしまいます。
葛城は荒土館に閉じ込められなかったため、近くの宿で待機することに、そしてその宿では殺人を目論んでいる人がいて、たまたま葛城と相部屋になります。
そして、荒土館では閉じ込められた上記のメンバー以外にも風変わりな芸術家と取り巻きがいますが、そのメンバーが次々と殺されていきます。
実は、荒土館での殺人犯と宿で殺人を目論んでいる人はお互いに交換殺人を偶然約束していて…
筆者の感想
紅蓮館の殺人より楽しめましたが、蒼海館には一歩及ばずといったところでしょうか。
事件が起きている荒土館に肝心の葛城がいないのが個人的にうーんという感じでしたね。
また、犯人についても個人的には早い段階で目星がついてしまっていたというのも正直なところです。
荒土館での繰り返される殺人がお話としては一番ピークだったようにも思います。それでも飛鳥井光流さんの復活は見ていてワクワクできましたし、読む価値は十分にあります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
そのエンタメ性に振り切った館もののミステリに新たな風を吹き込む一冊として、ぜひともお読みいただくことをお勧めいたします。
全四部作を予定しているとのことで、最終話では『紅蓮館の殺人』に出てきたもう一人の探偵の出番も欲しいところですね。
それでは、ここまで読んでいただきありがとうございました。
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