こんにちは、世界最大のげっ歯類のカピバラです。
本日は、筆者が特に面白いと思った、短編ミステリのおすすめを10冊挙げていきます
でも、最初に1つカミングアウトを
じつは、筆者はミステリだと短編よりも長編の方がずっと好きです…
だったらそもそも企画倒れじゃない?
そう言われる方もいるかもしれません。
しかし、そんな短編集があまり楽しめない私でも、楽しむことができた短編集であれば、皆様に自信を持って勧められるのではないかと思い、記事を作成いたしました。
また、ミステリは長編だと途中で伏線がどうだとか、人間関係はこうだったとか覚えるべきことがたくさんあります
よって、忙しくてなかなか本を読む時間が取れない人や、本を読むのに慣れていない人だとハードルが高くなりがちです。
短編集では、そのようなことがありません。ミステリの初心者や、忙しい人にも自信を持っておすすめできます。
なお、筆者作成ののミステリランキング100も宜しければご参照ください。
それでは参りましょう。
おすすめミステリ短編集10選
『探偵ガリレオ』 東野圭吾
福山雅治主演でドラマ化もしたガリレオシリーズの第1巻です。
科学では解明できないような不可思議な殺人事件を大学助教授の湯川学が解き明かしていきます。
短編集に収録されている事件は
- 突然人体発火現象がおき、1人が焼け死んでしまう『燃える』。
- 行方不明の兄にそっくりなデスマスクが展示されているのを見た女性、その不可思議な真相に迫る『転写る(うつる)』
- 浴槽で死んだ人間の死体の胸に謎のあざができており、その死因もわからない。その謎に挑む湯川を描いた『壊死る(くさる)』
- 湘南海岸で謎の爆死を遂げた女性と、三鷹のアパートでの撲殺の関連を突き止める『爆ぜる』
- 事件の証拠を幽体離脱をして見たという少年の真相に迫る『離脱る(ぬける)』
などなど、あらすじだけでも非常にワクワクする一冊です。
探偵役の湯川先生のキャラもよく、万人受けして楽しめると思います。ドラマ版は福山雅治がめちゃくちゃイケメンなのですよね。
続編短編集の『予知夢』、傑作である長編『容疑者Xの献身』もあわせてどうぞ!
『シャーロックホームズの冒険』 コナン・ドイル
実は、『シャーロックホームズシリーズ』って、ミステリにしては珍しく長編ではなく短編が主なのですよね。
その中でも、特に名作揃いと言われる短編集が『シャーロックホームズの冒険』です。
短編に収録されている事件は10本ありますが、特に有名なものをあげていくと
- かの有名な『アイリーン・アドラー』とホームズの対決が見られる『ボヘミアの醜聞』
- 赤毛の人に簡単な仕事をさせ、大金を渡すグループの以外な真相に迫る『赤毛組合』
- まだらの紐という謎の言葉を残し、突然死んでしまった女性の謎を解く『まだらの紐』
- 盗まれた青いガーネットの行方を追う『青いガーネット』
特に、『赤毛連盟』はその意外性もありつつ、高い論理を持ってホームズが謎解きをするところから非常に人気があります。
個人的には『青いガーネット』も大好きですね。宝探しの雰囲気があって楽しめます。
ホームズは長編もいいですが、短編から入っても楽しめますよ。
『儚い羊たちの祝宴』米澤穂信
これまたダークな一冊です。
米澤穂信先生はアニメ化もされた『氷菓』で有名ですが、爽やかなお話も多い評価とは異なり、一見青春モノに見えて暗い作風のお話が多いです。
もちろん面白さは担保されています。米澤ワールドへようこそ!といったところですね。
短編に収録されている事件は5本です
- 使用人の立場として、幼い頃から一生懸命仕えてきた家のお嬢様に潜む謎に迫る『身内に不幸がありまして』
- 軟禁されているように見える男とその男に仕えることになった女性との交流に秘められた事実を明かす『北の館の罪人』
- 山荘近くで怪我をした人を拾った女性は、なぜかその人を探しにきた仲間に何も知らないふりをして…『山荘秘聞』
- ちょっとドジなところもあるが、有能な使用人の玉野五十鈴と主人公の交流。そして…『玉野五十鈴の誉れ』
- ものすごいお金を払い、最高の料理人を雇った成金の男。その料理人に男の娘はあるお願いをする『儚い羊たちの晩餐』
いずれも印象に残る短編です。
特に、世間では『玉野五十鈴の誉れ』が評価が高いようです。
私は『山荘秘聞』の秀逸なストーリーに唸らされました。
繰り返しになりますが、ブラックなお話ですので、苦いコーヒーを飲むつもりで挑戦してみてください。
『謎解きはディナーの後で』 東川篤哉
これまた190万部を売り上げ、『櫻井翔』と『北川景子』主演でドラマ化もしている人気作の『謎解きはディナーの後で』です。
北川景子演じる超がつく刑事のお嬢様と、櫻井翔演じる有能ながらものすごく毒舌な執事との掛け合いが魅力です。
『それでもお嬢様はプロの刑事でございますか。』『ひょっとしてお嬢様の目は節穴でございますか。』『お嬢様はアホでいらっしゃいますか』など、ボロクソに言われたあとお嬢様は怒りますが、その後冷静になって執事の推理を聞くというのがパターンです。
ライトかつユーモア溢れるミステリは、万人受けして楽しめるはずです。
短編に収録されている事件は5本です
- 『殺人現場では靴をお脱ぎください』部屋で絞殺された死体はなぜか靴をはいていて、部屋に靴の足跡がなかったことから犯人が運んだのではと推理するが、果たして真相は?
- 『殺しのワインはいかがでしょう』毒入りワインを飲ませられた可能性のある男、しかしボトルやグラスから毒は検出されず、ワインボトルに仕込むのは容易ではない。謎の多い毒殺の真相に迫る。
- 『綺麗な薔薇には殺意がございます』他殺体が薔薇園で見つかった。どうやらその死体は他の場所から移されたことがわかる。しかし、その理由がつきとめられない。
- 『花嫁は密室の中でございます』花嫁が密室で背中を刺されて重傷を負い、あろうことか主人公のお嬢様が疑いをかけられてしまう
- 『二股にはお気をつけください』ある男が殺され、証言から犯人を突き止めようとするも証言には矛盾がある上、その証言に一致する人も見つからない。このパズルをといていく
- 『死者からの伝言をどうぞ』拭き取られたダイイングメッセージと、なぜか犯人によって2回から投げられたトロフィーがつなぐ真実に迫る。
本当にいい意味でサクッと読めてしまうので、おつまみみたいな楽しみ方もできます。
やっぱり執事がいいキャラしてますね。
『#真相をお話しします』 結城真一郎
2023年に出版され、瞬く間に人気となり、漫画化までされた短編集です。
短いながらも本格ミステリの様相を呈しており、真相に行く前に推理をしっかりすることができます。
短編に収録されている事件は5本です
- マッチングアプリでパパ活をする側とされる側、お互いの思惑は?『ヤリモク』
- 体験授業のため、ある親子のもとに訪れた家庭教師。そこで多くの違和感を目にするが、その真相は?『惨者面談』
- 精子提供を過去にした男と、その精子から誕生した娘。男は娘から、当時の秘密をおしえてもらう。『パンドラ』
- リモート飲み会で、突如起きた修羅場。1人が1人を殺すと言い出してしまう『三角奸計』
- Youtuberを目指す少人数の島にいる子どもがその島に隠された秘密に迫る『#拡散希望』
特に『#拡散希望』がよかったですね。今までにあまり見たことのないタイプのミステリで、オチが秀逸でした。
推理に自信がある人は、途中で真相当てに挑戦するのもいいと思います。
筆者は全然ダメでしたが。
『黒後家蜘蛛の会』 アイザック・アシモフ
非常に頭の切れる給仕のヘンリージャクスンが、様々な専門能力を持つ頭脳明晰なメンバーが行う『黒後家蜘蛛の会』で取り上げられる謎を解く話です。
黒後家蜘蛛の会には毎回(一部例外ありますが)ゲストが招かれ、そのゲストから謎が提示されます。
黒後家蜘蛛の会のメンバーは様々な意見を出しますが、最終的にはヘンリーが解き明かすというのがお決まりのパターンです。
収録されている事件は12本です
- 『会心の笑い』
- 『偽物』
- 『実を言えば』
- 『行け、小さき書物よ』
- 『日曜の朝早く』
- 『明白な要素』
- 『指し示す指』
- 『何国代表?』
- 『ブロードウェーの子守唄』
- 『ヤンキー・ドゥードゥル都へ行く』
- 『不思議な省略』
- 『死角』
特に、第一作である会心の笑いが傑作です。
ある裏切られた男が裏切り者から盗んだものはなんだったのか、ラストで明かされるそのオチは思わず手を打ってしまうでしょう。
『火曜クラブ』 アガサ・クリスティ
アガサ・クリスティが生み出した名探偵として『エルキュール・ポワロ』と双璧をなす、『ミス・マープル』が活躍するお話しです。
長編だと『ポワロシリーズ』が好きですが、短編だと『マープルシリーズ』の方が好きな筆者です。
本小説では、マープルが参加する『火曜クラブ』にて、過去の迷宮入りした事件について皆で話し合います。
メンバーは色々と議論をするのですが、結局は最後マープルが話を聞いただけで解き明かしてしまいます。
収録されている事件は13本です
- 『火曜クラブ』
- 『アスタルテの祠』
- 『金塊事件』
- 『鋪道の血痕』
- 『動機対機会』
- 『聖ペテロの指のあと』
- 『青いゼラニウム』
- 『二人の老嬢』
- 『四人の容疑者』
- 『クリスマスの悲劇』
- 『毒草』
- 『死角』
- 『溺死』
ポワロのように、元々事件に縁がなかった彼女がなぜここまでの推理ができるかというと、過去の自身の記憶や経験を、他人の行動を予測できるまでに落とし込むことが彼女には可能だからです。
そのため、その探偵方法は一風変わっており、それだけでも読む価値はあります。
もちろん謎も魅力的です。何しろあのクリスティが書いている上に、この本はクリスティの自薦10冊に入っているのですから。
『死神の精度』 伊坂幸太郎
死神の千葉は調査の対象とする人物に人間のふりをして1週間張り付き、その後死なすべきか生かすべきかをきめる仕事をしています。
しかし、人間界に来るたびに事件に巻き込まれます。ただ、千葉は死神なので痛みも感じず死にもしません。
それでいて千葉はどこか天然であり、周りの人間のやりとりが非常にコミカルです。
そのコミカルさと、人の生き死にという重い問題の取り合わせが、この本の最大の特徴でしょう。
収録されている事件は6本です
- 『死神の精度』 千葉の対象の女性は、なぜか同じ人物からクレームを毎回つけられる。その理由とは?
- 『死神と藤田』 千葉の対象の藤田はヤクザで、危険な戦いに身を投じることになる。しかし、千葉にはある確信があった。
- 『吹雪に死神』 吹雪の中に閉じ込められた千葉と対象者。しかし、対象者とは関係ない人物が次々と死んでいき…
- 『恋愛で死神』ストーカー被害に悩まされている女性と、千葉の対象の男性の話。
- 『旅路を死神』千葉は調査対象である凶悪犯にわざと人質に取られ、1週間を過ごすことになる。その男が知りたがっていることとは?
- 『死神対老女』千葉の正体を死神であると見抜いた美容室の老女。今までの短編の集大成。
どの話も面白いですが、今までの短編の総集編となる死神対老女にうるっときてしまいました。
伊坂先生は冷酷なお話も書きつつ、感動させる描写が上手いのですよね。
『富豪刑事』 筒井康隆
ものすごくお金持ちな富豪刑事が、財力に物を言わせて事件を解決するお話です。
原作はこの一冊ながら、その発想が独特なため、ドラマ化やアニメ化も現代へ設定を変えて行われています。
こち亀の中川や麗子との相性が良さそうです。
収録されている事件は6本です
- 『富豪刑事の囮』5億円強奪事件の犯人が時効目前でも突き止められない。容疑者が4人ということで、富豪刑事はその4人に金を出さざるを得ない状況を作る。
- 『密室の富豪刑事』密室トリックが真空鋳造の技術にあると確信した富豪刑事は、自身も真空鋳造の会社を立ち上げて、その真相に迫っていく。
- 『富豪刑事のスティング』会社社長の息子が誘拐されるが、会社は日の車でお金が用意できない。富豪刑事は代わりにお金を用意するが、その誘拐事件の真相は‥
- 『ホテルの富豪刑事』大規模な2組の暴力団が巨大な会合を開こうとしていた。トラブルを避けるべく暴力団を一箇所に集めるため、主要なホテルは一箇所を除いて富豪刑事が全て貸切にした。暴力団だらけのホテルで大したトラブルは起きず、安心し始めたところに銃声が…
と、まあものすごく金持ちの刑事ですね。それをFIREだとかしないで刑事として働いているあたり真面目なのでしょう。実際、金銭感覚は狂っていますが、富豪刑事は善人です。
SF作家が書く異色の短編ミステリをぜひお楽しみください。
『殺し屋ですのよ』 星新一
星新一先生はショートショートと呼ばれる数ページから長くても十ページ程度で終わることが多い短編を書いています。
正確には、全ての短編がミステリではなく、本作では『殺し屋ですのよ』という表題作で取り上げました。
自身を殺し屋と名乗る女性がその相手を殺す手口とは?
短いながらも思わず唸ってしまうその真相。一瞬で読める名作であると思います。
あとがき
まだまだ面白い短編集はたくさんありますが、長編を先に読むこと前提のシリーズ物だったり、同じ作家が書いたものは除いたのでこの辺でしょうか。
この忙しい現代では、サクッと読める短編の需要は上がってきているのかもしれません。
それではみなさま快適なミステリライフを!ここまでお読みいただきありがとうございました。
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