今回は、独断と偏見でミステリにおけるベスト100をランキングで決めて行きたいと思います。
私は今までにおそらく1500冊を軽く超えるほど小説を読んできており、その中でもミステリを多く読んできました。
そのため、自分の中でミステリを見つめ直す意味も込めて、今まで読んできた本の中で選りすぐったおすすめのミステリ100冊をランキング形式で発表して行きたいと思います。
なお、ここでいうミステリは広義の意味であり、人によってはサスペンスやSFなどに分類されるものもあるかもしれませんがご了承ください。
古今東西から節操もなく選んでいますが、ぜひ最後までお付き合いいただけると幸いです。
50位から1位はこちらからどうぞ
個人的ミステリベスト100 100位から51位まで
100位〜91位
100位 アメリカ銃の謎 エラリー・クイーン
エラリークイーンの国名シリーズのうちの一冊です。
ロデオの会場で人が射殺されるも、凶器が見つからず事件解決にたまたま居合わせたエラリークイーンが乗り出す。アメリカのドームの中でロデオをやり、その中で殺人事件が起きるという雰囲気が良いです。
一方で、謎解きに関しては弱めのため、この順位としました。それでも読む価値は十分にありますよ。でも先に他の国名シリーズでおすすめがあります汗
99位 月光ゲーム 有栖川有栖
『学生アリスシリーズ』の第一作ですね。
サークルメンバーでキャンプ中に火山活動が起きて皆が危機に晒される中起きる殺人と、ダイイングメッセージの謎解きが魅力です。
ダイイングメッセージに微妙に納得できなかったのでこの順位に汗
98位 水車館の殺人 綾辻行人
『十角館の殺人』で有名な館シリーズの第二作です。
館シリーズの探偵役は島田潔さんですが、彼が探偵をやるのは第二作であるこの話からですね。
面白くはあるのですが、十角館と比較すると少々押しが弱い。
97位 卒業 東野圭吾
みんな大好き東野圭吾さんの『加賀恭一郎シリーズ』第一作です。
この時の加賀恭一郎は阿部寛が演じていた警察官ではなく、まだ学生の身分で、教師を第一志望としています。
この頃の東野さんは本格ミステリを描こうとしていたのですが、どうにも売れなかったそうです。実際、トリックもあまり面白味はなく、なんか惰性で読んでしまった感じはします。
これが後の大傑作である『悪意』に繋がるとは夢にも思いませんでした。
96位 謎解きはディナーの後で 東川篤哉
昔ドラマ化してましたね。売り上げも200万部ほどと大ベストセラーです。
謎解き自体は非常にライトなので、執事とお嬢様(櫻井翔と北川景子がそれぞれ演じた)のやり取りをのんびり楽しむ短編集です。
頭を使わず読めるミステリかもしれません。
95位 真相をお話しします 結城真一郎
これまたライトミステリです。短編でどんでん返しが上手いのは楽しいですが、キャラクターの描写が深くないので、どちらかというとパズルとして謎解きを楽しみたい方向けです。
94位 イニシエーションラブ 乾くるみ
ヒロインと主人公が無事に結ばれ、徐々に距離を縮めて行き、最終的にはハッピーエンドでゴールイン!
そう思っていた時期が僕にもありました。
恋愛もののように見えて、しっかりミステリをしています。
93位 透明な螺旋 東野圭吾
過去に殺された歌の才能に恵まれた女子高生の死の真相と、現在進行形で起きているならずものの死を湯川先生が解き明かします。
面白いのですが、ガリレオシリーズの期待値は常に高いのでこの順位。ちなみに最新作の『透明な螺旋』は選外です。
92位 樽 クロフツ
アリバイものの古典的名作です。
とはいえアリバイものってそんなに食指が動かないのですよね。今読み返してみたらまた感想はかわるかも。
91位 僕と先輩のマジカル・ライフ はやみねかおる
この本は、もっと順位を上げてもいいと思います。ただ、以前読んだにも関わらず本をなくした上に内容をそこまで覚えていないのです。
先輩と主人公と主人公の女友達の掛け合いがおもしろかった記憶があります。
ちなみに作者のはやみねかおるさんは児童書を専門に書いていて、『名探偵夢水清志郎シリーズ』なんかも面白いですよ。今回は悩んだ末に児童書ということで選外にしましたが。
90位〜81位
90位 逆転美人 藤崎翔
こういう本を読むと紙の本にもまだまだ可能性があると思えてきます。
とはいえストーリー自体はそこまで面白いとは思わなかったのでこの順位に。
89位 眼球堂の殺人 周木律
探偵のキャラがよく、ありえないだろという建物での殺人事件ということでランクイン。
トリックやプロットは面白かったですが、押しがちょっと弱いかもしれません。
88位 点と線 松本清張
松本清張先生の代表作にして300万部も売れている名作です。
この順位にするのは正直申し訳ないのですが、個人的にアリバイトリックものは好きにはなれないのです…
今となっては新鮮かもしれない列車の時刻表をめぐるアリバイ崩しです。
87位 俺ではない炎上 浅倉秋成
自分に成り済ましたSNSで殺人の罪を着せられて、逃亡しながら真相を探る男の話です。
この作者は人々の二面性を書くのが上手いと思います。逃亡しながら徐々に深層に迫っていくスリラーとして往年の名作映画である『逃亡者』を思い出しました。
86位 あなたが誰かを殺した 東野圭吾
『加賀恭一郎シリーズ』の最新作です。別荘地帯で起きた殺人事件に協力を要請された加賀恭一郎が挑みます。
無差別殺人と思われたその事件にはどうやら裏があるようで‥
ところで加賀さん設定上は何歳になっているのでしょう。
85位 珈琲店タレーランの事件簿 岡崎琢磨
一冊にまとめていますが、シリーズものです。京都の喫茶店の美人マスターが(主に)日常の謎をコーヒーを挽きながら解き明かしていきます。
読むと京都でコーヒーを飲みたくなりますね。キャラクターも魅力的でライトに読むことができるミステリとしておすすめです。
84位 世界で一番透き通った物語 杉井光
主人公が、小説家の父親の遺稿である『世界で一番透き通った物語』を探し求めるお話しです。
なぜ、そのようなタイトルの本なのか考えながら読み進めてください。最後にアッと言わされると思います。
83位 ノースライト 横山秀夫
椅子を1つ残して一家が失踪してしまいます。
小説の文体や雰囲気が好きです。その真相を知ると何ともいえない気持ちになりました。
82位 ユダの窓 カーター・ディクスン
古典的名作とも言えるミステリです。密室で殺人を実行するその方法に迫っていきます。
果たして密室殺人を可能にしたユダの窓とは?
81位 その女アレックス ピエール・ルメートル
なぜか囚われの身になっている女性アレックス。本人もなぜそのような状況になっているのか理解がつかない状態で、脱出を図ります。
二転三転していく状況は目が離せません。ここまで展開が動くミステリはそうそう無いでしょう。
ちなみに、この本はシリーズの二作目であり、一作目から読みたい方は『悲しみのイレーヌ』からお読みください。とんでもない一作目のネタバレがあるので。
80位〜71位
80位 黒後家蜘蛛の会 アイザック・アシモフ
頭脳明晰なメンバーが日常の謎について解き明かそうとする『黒後家蜘蛛の会』でのお話です。
そのメンバーを差し置いて、毎回謎を解くのはメンバーでも何でも無い給仕のヘンリー。短編集となっていますが、特に第一話は読む価値が非常にあります。
79位 ローマ帽子の謎 エラリー・クイーン
記念すべき『国名シリーズ』の第一作です。
エラリー・クイーンのキャラクターを存分に味わうことができる第一作です。やや捜査のテンポがゆっくりですが、記念碑的名作としてミステリファンは読む価値があります。
78位 毒入りチョコレート事件 アントニー・バークリー
毒入りチョコレートを食べた人が亡くなり、その真相を解き明かすお話です。
面白いのは探偵が6人いて、6人が別々の回答を持ち寄って解決に導こうとします。いわゆる多重解決ものです。ミステリの記念碑的名作を是非。
77位 孤島パズル 有栖川有栖
『学生アリスシリーズ』の第二作です。島で宝探しをしているアリス達が殺人事件に遭遇してしまいます。
宝探しと殺人事件、これら2つを綺麗なパズルとして解決に導く様は圧巻です。極めて論理的なミステリとなっています。
76位 カナリア殺人事件 ヴァン・ダイン
ファイロ・ヴァンスの第二作です。第一作のベンスン殺人事件、第三作のグリーン家殺人事件、第四作の僧正殺人事件が新訳版で文庫化されている中、なかなか新訳が出なかった悲しい本です。
ヴァンスが犯人を追い詰めるためのポーカーゲームのシーンは一見の価値ありです。
75位 ABC殺人事件 アガサ・クリスティ
名前がAから始まる街でイニシャルがAの人が殺され、同じく名前がBから始まる街でイニシャルがBの人が殺される連続殺人が起きます。
そして次はCの街で… と何ともスリリングな始まりと、ポアロの鮮やかな名推理が入るポアロシリーズ随一の傑作です。
何でこんなに順位が低いのかというと名探偵コナンの39巻でネタバレを喰らった状態で読んだという超個人的な事情によります。
74位 インシテミル 米澤穂信
アルバイトに応募した被験者たちは、あるデスゲームに参加させられます。それは何もしなくても高額の報酬を受け取れますが、各々が与えられた武器などを使って殺人をすると報酬が跳ね上がるというものです。
そして、その殺人を解き明かした人が出た場合、犯人の報酬は激減し、解き明かした人に報酬が上乗せされます。この設定だけでも読んでみたくなりませんか。
73位 蒼海館の殺人 阿津川辰海
徐々に浸水していく館で起きる殺人事件。前作の『紅蓮館の殺人』(このランキングでは選外です)よりはるかにスケールや面白さが増した館もののミステリ。
読む時は『紅蓮館の殺人』とセットでお読みください。
72位 スタイルズ荘の怪事件 アガサ・クリスティ
記念すべきエルキュール・ポアロの初登場作品です。
ホームズと並んで世界で最も有名な探偵の1人では無いでしょうか。第一作目にして高い完成度を誇り、私も綺麗に騙されてしまいました。
71位 64 横山秀夫
昭和64年に起きた未解決の誘拐殺人事件を時効直前まで追い求める刑事の話です。
ちょっと警察の中で起きる内紛のようなものは個人的に蛇足だと思いましたが、貼られていた伏線が回収され、過去の事件を解き明かす様は圧巻でした。
とある人物の執念がすごい。
70位〜61位
70位 カブト虫殺人事件 ヴァン・ダイン
名探偵のファイロ・ヴァンスがやっぱりいいキャラしてますね。学術的な会話が多いのは人によっては受け入れないかもしれませんが私は好きです。
ところでカブト虫殺人事件となっていますが、原語ではSCARAB(スカラベ)なのでカブトムシでは無いのでは?どうでもいいかもしれませんが。
69位 氷菓 米澤穂信
省エネを主義とする探偵役の折木奉太郎と好奇心旺盛な千反田えるが織りなす青春ミステリです。米澤先生の青春ミステリの中ではブラック度は薄めです。
過去にアニメ化もしていてそちらもおすすめです。私はアニメから入って小説を読みました。
68位 双頭の悪魔 有栖川有栖
『学生アリスシリーズ』の第三弾です。何と読者への挑戦が3度も挿入される意欲作です。
最後の探偵役の江神さんと犯人の対決も思わず魅入ってしまいました。学生アリスシリーズは新しい作品の方が好きですね。
67位 爆弾 呉勝浩
都内に仕掛けられた爆弾のありかを知っている愉快犯であるスズキタゴサクと警察とのやり取りが手に汗を握ります。
いい意味でスズキタゴサクがむかつきますね。
この作品で初めてこの作家を知ったのですが、今後も要注目です。
66位 マスカレードホテル 東野圭吾
高級ホテルに殺人予告が届き、警察がホテリエに扮して潜入捜査をします。
高級ホテルの描写も多いのですが、実際に泊まってみたいですね。モデルは『ロイヤルパークホテル』らしいです。
殺人予告を送った犯人の目的に要注目!
65位 王とサーカス 米澤穂信
現実でも起きたパールでのクーデター事件を取材に来た主人公が、軍人の殺人事件に巻き込まれます。
歴史的事件とミステリを組み合わせる手腕はまさしく米澤先生ならでは。
この主人公は『さよなら妖精』(今回は圏外ですが、おすすめ)にも登場しています。
64位 女王国の城 有栖川有栖
学生アリスシリーズ第四弾!もっと順位上にしたかったですが、ちょっと話が長すぎるので細部を覚えていないことが原因です。ごめんなさい。
カルト教団からの逃亡劇や教団が隠している秘密に迫るところなど面白いのですがいかんせん長い。
63位 迷路館の殺人 綾辻行人
みんな大好き綾辻先生の館シリーズです。
隠し扉ありきのミステリというのもすごいですが、綾辻先生が当然それだけで終わらせるはずもなく、最後にはきちんとどんでん返しが待っています。
読んだのは昔ですが、これは予想できなかった…
62位 電脳山荘殺人事件 樹林伸
この本、漫画の金田一少年の事件簿のノベライズ版という何とも異色な一冊です。
しかし、本格ミステリに負けない名作としてファンの間では語り継がれています。まだPCでの通信が出始めた時代に顔も知らないメンバーで雪山でオフ会を実施、そこで起きる殺人事件を取り扱っています。
トリックが何とも秀逸です。
61位 真夏の方程式 東野圭吾
ガリレオと少年の交流を描きつつ、旅館で変死をした人間の真相に迫ります。
面白いのですが、やはりガリレオシリーズはあの作品が強すぎる。とはいえ、子供嫌いのガリレオと少年の交流はみていてほっこりしますね。
ガリレオはなんだかんだ面倒見がいい。
60位〜51位
60位 ナイルに死す アガサ・クリスティ
この前映画化もされたポアロの名作の1つです。
映画版のポアロもものすごくオシャレで格好良く(ポアロにしては格好良すぎ?)、小説ともどちらも面白いです。
恋愛とミステリを結びつけるのはクリスティ女史ならでは。しかしミステリの完成度の高いこと高いこと。
クリスティはランク外でもおすすめ作品がたくさんあります。
59位 ビブリア古書堂の事件手帖 三上延
シリーズものですが、短編でお話の完成度はどれも同じくらいなのでこの順位にまとめました。
栞子さんがとにかく可愛い。本当に可愛い。文学女子って絶滅したと思っていますが私がそういう方に縁がないだけかもしれません。
古書を扱うミステリということで本好きの方はニヤッとしてしまうこと請け合いです。
58位 ソロモンの偽証 宮部みゆき
宮部みゆき先生の中学生の学校からの飛び降りを扱った一冊です。
その真相を学級裁判で解き明かしていくのですが、そこに至るまでの過程が長くとも面白く、受験生時代に一気読みしてしまいました。
『模倣犯』とどっちが長いのだろう。
57位 フランス白粉の謎 エラリー・クイーン
『国名シリーズ』の確か二作目ですね。
ショーウィンドウから女性の死体が出てくるという、何ともショッキングな始まりです。
クイーンの謎解きのシーンがとにかく格好良く、それでこの順位に入れてしまいました。
56位 ベンスン殺人事件 ファイロ・ヴァンス
ファイロ・ヴァンスシリーズの第一作です。
物的証拠より心理的証拠を優先するヴァンスの探偵法は今見ても革新的に思えます。残念ながら、のちの作品では心理的証拠をそこまで優先している気はしませんが、本作では見事に発揮。
事件自体は地味でも、このシリーズである意味一番ヴァンスらしいヴァンスが見られます。
55位 流星の絆 東野圭吾
洋食屋を営む両親を殺害された3人兄妹が、事件から14年後にたまたま自分の店で出していたハヤシライスと同じ味のハヤシライスを出すお店を見つけ、事件の真相に迫るお話です。
ミステリというよりはエンタメとして完成度が高く、グイグイと引き込まれるパワーがあります。
この話を読んでハヤシライスを食べたくなったのは私だけではないはず。
54位 儚い羊たちの祝宴 米澤穂信
戦前のバベルの会という女学生が実施する読書会周りで起きる様々な事件を集めた短編集です。
米澤先生のブラックさが滲み出ていて好きですね。私は短編集はあまり好きではないのですが、この本は例外的に特に楽しめました。
53位 オランダ靴の謎 エラリー・クイーン
『国名シリーズ』の一冊です。人によっては国名シリーズの最高傑作に挙げるのではないでしょうか。
それだけ論理的な謎解きのパズル性が高く、論理的なミステリという点では他の追随を許しません。
私はエンタメが好きなのでもっとランクが上の国名シリーズがありますが、この本をミステリの一位に推す人がいても納得の一冊です。
52位 聖女の救済 東野圭吾
『ガリレオシリーズ』長編の第二弾です。ガリレオがこれは完全犯罪だと評した犯人との対決は見ものです。
この小説映画化されてないのでしたっけ?『真夏の方程式』の方が有名ですがこちらの方が好きですね。
タイトルが何とも秀逸。
51位 火車 宮部みゆき
突然消えた女性を追いかけていくミステリですが、その過程でどんどん恐ろしい事実が明らかになっていき、それらが1990年ごろのカードや信用払いの恐ろしさにつながっていく。
と私の文章力では伝わりませんが、この本このミステリーがすごいの20年間の総集編で1位に選ばれたこともある名作です。ちょっと古いですがおすすめ。
50位から1位に続きます。続きはこちらからどうぞ。
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